納骨堂とは? 納骨堂の種類、相場、メリット・デメリットについて

納骨堂とは

納骨堂とは骨壷に入れた遺骨を安置しておく建物のことを言います。
一昔前は納骨堂と言えば、お墓に埋葬する前に一時保管しておく場所を指しました。
しかし、現代では一般的なお墓と同じ役割を担う場所という意味で使われることが多くなってきました。

このページでは後者の意味での「納骨堂」を解説しています。

納骨堂って法律的に問題ないのですか?

「あれ?お骨って埋めなくてよかったっけ? たしか、家の庭とかどこにでも埋めていいわけじゃないんですよと書かれていた法律があったのでは・・・」と疑問を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

それは「墓地、埋葬等に関する法律」という法律です。
この法律には遺骨を土の中に埋めるときは、墓地以外の場所に埋めてはいけませんよということが書かれています。
つまり土の中に埋める場合のことが書かれているだけで、納骨堂などで保管することに関しては書かれておらず、また、お骨を必ず土の中に埋めなければいけませんよという法律はありません。
よって、納骨堂で供養することは何ら問題がありません。

というわけで納骨堂を考えておられる方は安心してください。

納骨堂の種類

皆さんがイメージする納骨堂はどのようなものでしょうか?
最近、都心部の利便性の高い場所にできているビル型の自動搬送式の納骨堂でしょうか?
これは一般的に移動搬送式と言われています。
つまり、遺骨が動くタイプの納骨堂ですね。

一方で、棚式、ロッカー式、仏壇式といった遺骨が動かないタイプの納骨堂があります。

実際に見てみないとどういうものか分かりづらいと思いますので、東京の港区青山にある「実相寺 青山霊廟」の納骨堂を紹介したいと思います。

1.棚式

お寺の中に位牌壇があり、そこに写真のように位牌と骨壷を収納できるものが並んでいます。
お遺骨はすべて入りきりませんので、残りは合祀墓に合葬されます。
1名のみ納骨することができ、選択した期間は位牌壇に並び、その後は合祀墓で永代供養されます。

価格
個別預かり期間 13年:24万円
個別預かり期間 23年:36万円
個別預かり期間 33年:48万円
※管理費用はかかりません。

2.ロッカー式

1人用のロッカー式のものです。
ロッカーを開けると中扉があり、その中扉の奥に骨壷を収納します。
扉と中扉の間に少しスペースがあるので、写真立てや位牌を置くことが可能です。
こちらも選択した期間はこちらに管理され、その後は合祀墓で永代供養されます。

価格
個別預かり期間 13年:50万円
個別預かり期間 23年:70万円
個別預かり期間 33年:90万円
※管理費用が年間4千円かかります。

こちらは夫婦など2名まで納骨できるロッカー式のものです。
選択した期間はこちらに管理され、その後は合祀墓で永代供養されます。

価格
個別預かり期間 12年:100万円
個別預かり期間 23年:130万円
個別預かり期間 33年:1万60円
※管理費用が年間4千円かかります。

3.仏壇式

お仏壇が上段にあり、下段に骨壷を収納します。
こちらは期間はなく先祖代々のお墓として永代に使用できます。
また納骨数にも制限はありません。

価格
永代供養料 300万円
※管理費用が年間1万2千円かかります。

いかがでしょうか?
もちろん納骨堂によってデザインや価格形態など異なりますが、イメージはつかんでいただけたのではないでしょうか。

参考 公式ホームページ実相寺 青山霊廟

いま話題のビル型納骨堂とは?

最近、都心部の交通至便のよい場所にできているイメージがあるビル型納骨堂は自動搬送式と呼ばれています。


こちらの動画を見ていただいたらわかるように、骨壷を入れた箱(厨子ずし)がまるで立体駐車場や倉庫のように自動搬送システムによって参拝スペースまで運ばれてきます。
多くのビル型納骨堂はまるで高級ホテルや高級マンションのような佇まいで中には受付があり、ラウンジまで併設されているところもあります。

どのようなものか2018年6月に目黒駅から徒歩3分の場所に開苑した「目黒御廟」を例に見てみましょう。
まずはこちらの動画をご覧ください。


いやはや、すごいですね💦

気になるお値段は次のとおりです。

価格
B1階 睡蓮:85万円
1階 欅・楓:108万円
2階 鳳凰・孔雀:136万円
※年間管理費が1万5千円です。

承継されている限り永代使用権があり、もし、後継者不在になった場合は慶應寺の永代供養墓で合祀してもらえます。
また、納骨は8名まで可能であり、宗教・宗派は不問です。

参考 公式ホームページ室内墓 目黒御廟(めぐろごびょう)

納骨堂が増えている理由。納骨堂のメリット

近年、このような納骨堂の数が都心部を中心に増えています。
厚労省発表のデータによると2017年度末時点で全国に納骨堂は12,360箇所あります。

なぜ現在、これほどまでに納骨堂の数が増えているのでしょうか。
大きな理由が数点あります。

  1. お墓に比べて料金が安い
  2. 遠くのお墓より近くの納骨堂にしたい
  3. 屋内で天候を気にせずお参りできる
  4. 手ぶらでお参りできる
  5. 掃除や手入れもなく楽

まず費用ですが、株式会社鎌倉新書さんが2018年に行われた「お墓の消費者全国実態調査」では、一般墓の平均購入価格が154万円だったのに対し、納骨堂の平均購入価格が94万円でした。
つまり一般墓の約6割で納骨堂は購入できることになります。

2番目の場所については、一般墓はどうしても面積を要しますので、お墓は郊外にあることが多くお墓に行くまでに時間がかかってしまいます。
一方でビル型納骨堂などは上記で説明した目黒御廟のように山手線主要駅から徒歩3分と非常に交通至便がよいところにあります。

また、納骨堂は屋内にあるため天候を気にする必要がなく、線香や花も用意されているため手ぶらで気軽にお参りできます。
そして、管理者がいてますので、掃除や手入れも必要ないのです。

安くて近くて楽。
この3つがそろっていることから納骨堂の需要は高まり、数が増えているのです。

納骨堂のデメリット

それでは、納骨堂にデメリットはないのでしょうか?
メリットばかりであれば全員が選ぶでしょうが、まだ一般墓を選択される方の方が多いのも事実です。

納骨堂には次のようなデメリットがあります。

  1. 土に還らない
  2. 味気なさがある
  3. 収納できる遺骨数が限られる
  4. 最後は合葬になることも
  5. 建物の維持費問題

一般墓でもお骨を直接土の中に埋蔵するわけではありませんが、私たち日本人には死んだら土に還るというイメージがあります。
しかし、納骨堂は当然のことながら土の中に保管されません。

また、納骨堂は味気ないというイメージを持たれることもあります。
屋内であるため、火を使うことを制限されているところが多く、その場合は電子線香を利用しています。
また、自動搬送式の納骨堂であればお骨が物のように運ばれてくるイメージがあります。

スペースが限られているため収納できる遺骨数も限られ、また、期間を定められているところも多くそうしたところでは最終的には合葬となり永代供養墓で供養されることになります。

建物の維持費問題もこれから年月が経てば問題になってくるのではないかと言われています。
特にビル型納骨堂などは老朽化したときに補修するには多額の費用がかかります。
それを現在支払っている年間管理費だけで賄うことは無理な話で、その費用を誰が払うことになるのか明確にしていないところもあります。

まとめ

家族の形もライフスタイルも多様化が進む中、それにあわせてお墓の形も多様化してきています。
納骨堂にはメリットもデメリットもあります。
また、ある方にはメリットであっても他の方にとってはデメリットのこともありますし、その逆もまた然りです。

亡くなられた方、残された家族の方がそれぞれ納得できるお墓選びをすることが大切です。
そうした中で納骨堂も一つの選択肢として考えてみられてはいかがでしょうか。