永代供養とは? 永代供養の基礎知識

現代において「永代供養えいたいくよう」はお寺・霊園が永代にわたって供養すること

永代供養とは、数世代にわたる比較的長期の年月をかけて、死者を供養する行為を指す。ウィキペディアには説明されています。

一方で、私たちが一般的に理解している永代供養は次のようなものだと思います。

「遺骨を共同墓地などに埋蔵し、そこを管理する僧侶が永代に渡って供養してくれる」

永代供養という言葉はウィキペディアに書かれているように、本来は子孫代々まで先祖を祀りまつり供養する宗教行為を指すものでした。
しかし、現代では「永代供養墓」「納骨堂」「樹木葬」などをイメージする「遺骨を共同墓地などに合祀ごうしし、そこを管理する僧侶が永代に渡って供養してくれる」という意味合いが一般的には理解されることが多くなってきました。

このページでは後者の意味で永代供養を取り扱います。

永代供養を前提とした「永代供養墓」

最近ではそうした永代供養を前提とした永代供養墓や納骨堂が増えてきています。
その背景の1つには近年のライフスタイルの変化があげられます。
少子高齢化や晩婚化により跡継ぎがいないということ、田舎から都会に引っ越し先祖代々のお墓の世話をできなくなったetc…
また、都市圏においては墓地不足の問題もあります。
公営墓地は何十倍もの競争率になっていますし、民間霊園は高額で簡単に購入できません。
しかも、厳密には永代使用権を買うことであり、もし買った人が亡くなり、管理する人がいなくなればいずれ無縁墓となって処分されてしまいます。

永代供養と永代使用の違い
永代供養とよく似た言葉に永代使用というものがあります。これは墓地などを「永代にわたって使用する」ことです。永代使用料というのはあくまでも墓地の使用権の料金で、最初に永代使用料を支払うことで以後は年間の護持会費や管理費などを支払う限りは永代にわたって使用することができるものです。

そのような背景があり永代供養墓が広まってきました。

一般的な永代供養墓は以下のような特徴があります。

  • お寺が永代にわたって供養と管理を行う = 無縁墓になることがなくなる
  • 費用がシンプルで安い = 1回払いきりで墓石が必要ない場合が多い
  • 宗旨・宗派に関係なく納骨することができる
  • お寺の檀家になる必要がない
上記のような特徴があるため、このような人にオススメできます。
  • 先祖代々のお墓がない、先祖代々のお墓ではなく個人や夫婦のお墓に入りたい
  • お付き合いしているお寺がない、お寺の檀家になりたくない
  • お墓の費用を安く抑えたい、子供の代に負担をかけたくない
  • しっかりと供養してほしい
  • 都市部など、アクセスのよい場所に納骨してお墓参りの負担を減らしたい

永代供養の生前契約・生前予約

最近では「家族や子供の代に負担をかけたくない」という声が増えてきており、自らのお葬式やお墓を生前の元気なうちに準備する終活が活発に行われています。
永代供養も本人が生前契約を行う人は決して少なくありません。

生前契約のメリットについて見ていきましょう。

  • 故人本人の遺志がはっきりと残る
  • 落ち着いて良い条件の永代供養墓を探し、予約することができる
  • 生前にお墓を決めておくことで、本人や家族の心の負担が減る
生前契約のメリットは何と言っても本人の意思がはっきりと残ることです。
永代供養のように従来の葬送とは異なるやり方は、親戚など周囲の理解を得られないこともあり、本人が希望していたのにもかかわらず反対を押しきれずに結局お墓を購入してしまうということも少なくありません。
本人の遺志を確実に遂行するためには本人が済ませておくことが一番です。

また、生前にお墓を決めておくことで、本人や家族のもしものときのことへ不安が軽減されます。終活全般もそうですが、生前に死の準備をしておくことは人生を豊かに過ごすために非常に有効です

また、基本的に永代供養料など一式料金以外は負担が発生しないものの、生前契約では契約者が存命中は年会費・護持会費などを負担するシステムになっているところもあります。
年会費は数千円程度の物が多く、大きな負担ではありません。
むしろ、好条件の納骨堂などは非常に人気なので生前に予約して押さえることのできるメリットの方が大きいでしょう。
限られた納骨スペースしかないお寺にとっても収益が安定するので、結果的に預ける側の安心感も上がります。

永代供養墓の種類

永代供養はお寺や霊園が永代にわたって供養・管理を行いますが、納骨形式や納骨方法によっておおまかに以下の3種類に分けることができます。

合祀墓・合葬墓

最も費用が安く済むのが合葬形式で、納骨堂ではなく永代供養墓と表記される場合はこの合葬形式のものが多いです。
故人の遺骨を個別に安置するのではなく、他の遺骨と合同で埋葬します。
最も費用が安い反面、他の遺骨と混ざってしまうため後から遺骨を移したりすることは不可能です。

遺骨が還ってこないことに抵抗のある人も多いですが、個別に安置するタイプの永代供養墓であっても、三十三回忌や五十回忌の弔い上げが済むと合祀することが一般的です。
また通常のお墓であっても土に還ったり液状化などで消失するので、遅かれ早かれ最終的には遺骨は無くなってしまうものです。

納骨堂 (ロッカー式、仏壇式、位牌式、自動搬送式など)

納骨堂形式は永代供養の主流とも言えるもので、近年増えてきています。
コインロッカーのように専用スペースが設けられているものや、仏壇の形をしたもの、参拝場所に遺骨が搬送されてくるものなど種類も様々で、価格もそれに応じて安いものから高いものまであります。

個別にお参りでき、納骨形式の選択肢も豊富なのが特徴です。遺骨に対して手を合わせたい人や、従来のお墓を建てようか迷っている人が一時的に遺骨を安置する場合などは納骨堂に安置するのがよいでしょう。

個人墓・夫婦墓、樹木葬

通常のお墓と同様に墓石を建立して、寺院が管理する個人墓形式のものもあります。
継承を前提としていない点が従来のお墓とは異なる点で、夫婦墓などもあります。
従来のお墓と同じような感覚で納骨・参拝できる上に無縁墓となる心配もないですが、墓石の建立が必要になるため費用がかかります。

樹木葬も個人墓・夫婦墓の一種と言えます。
墓石の代わりに樹木を墓標とする自然葬の一種で、やはり寺院・霊園管理者による永代供養が行われるものが多いです。
都市部では公園型と呼ばれる整備された庭園に納骨するものや、里山型と呼ばれる山全体を樹木葬墓地としているものもあります。
費用は墓石がない分割安です。
また東京都の小平霊園に代表されるように、合葬形式の樹木葬もあります。

永代供養墓の注意すべきポイント

「永代」は何年先まで?

永代にわたって供養するという意味の永代ですが、もちろん永遠という意味ではなくお寺や霊園などが続く限りです。
もっとも、墓地埋蔵法で経営の永続性がある程度認められたものだけが墓地の認可を受けています。

もっと重要なのは、「納骨堂に預ければ永代にわたって個別安置してくれる」というイメージがありますが、これは誤りです。
個別に安置するのは三十三回忌(または五十回忌)の弔い上げまでというのが一般的です。
お寺によってはもっと短い期間を設定しているところもあります。

個別安置の期間が終わった遺骨は遺族に確認を取った後に、お寺の合祀墓に合祀されます。
いったん合祀されると、故人の遺骨を返してもらうことは不可能になるので、合葬についても検討して、改葬の可能性がないかを考えておきましょう。

遺骨はいずれ無くなる?
遺骨は100年ほどで土に還ると言われており、また湿度が高い場所などでは遺骨が液状化することも多く見られます。従来のお墓であっても、長い年月で消失したり、あるいは骨壷がいっぱいになったら粉末状にしたり、永代供養墓に合祀したりすることもあります。

お参りや個別の法要はできるか

永代供養はお寺・霊園が永代にわたって管理・供養を行ってくれますが、もちろん可能であるなら参拝や供養に参加するとよいでしょう。
永代供養墓では多くの場合、参拝用のスペースや法要・会食を行うスペースが用意されており、個別の法要を希望する人には法要を執り行っています。

合同の法要はお布施が不要なところが多いですが、個別の法要は永代供養のプランに含まれていないところが多く、別途お布施を包む必要があります。

永代供養の料金についてしっかり確認しておく

これまで解説してきたのは、一般的な永代供養墓についてです。中には宗派が限定されていたり、檀家になることを条件としているところもあります。

永代供養の料金について理解しておかないと、思わぬところで出費が発生したりする可能性もあります。永代供養にかかる費用は本人だけでなく、家族もしっかりと目を通しておくようにしましょう。